凡庸

週一くらいが目標です。

いい歳した子供ゴコロパワー!鉄塊を持ちあげて、悪い怪獣を殴り殺せ!

 「パシフィック・リム」を観てきた。電車で少し行ったところにIMAXシアターがあるので、3D吹替え上映大人一枚、ポップコーンとジンジャーエール付きで観てきた。売店のお姉さんに「ジュースはジンジャーエールともう一つどうされます」「あ、いえ、ひとりなので」「…あッ、失礼しました」みたいなやりとりをしていただく。チケットとポップコーンとジュースを抱えて両手がふさがっているため、シアターの入り口で別のお姉さんにIMAXメガネを装着してもらう。観る前から色々サービス満点である。
 ちなみにIMAXシアターは普通の3D上映と違って、IMAX特製メガネなので自前の3Dメガネを持って行ってもダメです。僕も以前眼鏡の上から装着できるタイプの3Dメガネを持って行ったら、「ダメです」と言われ、泣く泣く眼鏡オンIMAXメガネという非常に見づらい状態で「マイティ・ソー」かなんかを鑑賞した覚えがあって、その失敗を活かしてわざわざコンタクトをしてきた。
 映画が終わってから場内の電気がつくと、普段の僕みたいな根暗眼鏡野郎が多めだったような気がするんだけれども、彼らも眼鏡オンメガネで観たんだろうか。次からはコンタクトしてこいよ。


 IMAXメガネの話はどうでもよい、映画だ。本当は「ワールド・ウォーZ」とか色々いっぱい観たい映画もあったけど、自分の中で「絶対に映画館でみたいランキング」を作った時に、やっぱり「パシフィック・リム」が断トツだったのだ。ロボと怪獣。もっとも迫力を要求されるジャンルではないか。
 端的に言うと大変おもしろい映画であった。僕の他の根暗眼鏡野郎たちも満足した様子であった。話の筋は、地震が原因で次元のひずみができて、その次元のひずみを通って異次元空間から「カイジュウ」が地球を襲いにくるので、各国の力を合わせてロボットを作り、これを撃退しましょう、というもの、ほんとにまさにこの通りで、これをいい歳した大人が観に来るなんて正気の沙汰じゃないな、と自分でも思う。


 いい歳した大人が観るもんじゃないといいつつ、この映画のターゲットは僕みたいな平成ロボ世代ではなく、もっとおっさんの(下手すると孫がいるような)昭和ロボ世代、つまりは鉄人28号やらジャイアントロボやら、若くてマジンガーZの世代ではないかと疑っている。なにせロボ達は基本的には徒手空拳を活かして闘うのだ。もちろん武器も使うのだが、武器なんて呼べる代物ではなくて、その辺の建造物をひっつかんで、怪獣の急所(主に頭)を集中的に殴り抹殺する、という極めてシンプルかつバイオレンスなファイトスタイルである。
 僕らのロボは、もっと「なんちゃらブレード」やら「どうのこうのビーム」やら「最強合体」的なものを活かして闘ってたような気がするのだけれども、「パシフィック・リム」に登場するロボはどれもこれも「いかに怪獣を殺すか」という目的のために、その重量やトゲトゲやギザギザを怪獣たちの急所にぶつけるという合理的なんだけど、見栄えの悪い闘い方である。おまけに大体の戦闘シーンが豪雨降りしきる夜半だとか、真っ暗な海の中で行われるので、確かに厳しい戦いだということは伝わるものの、極めて陰惨、怪獣たちがダラダラと流す青く光る血液らしいもの(おまけにこれは何でも溶かしてしまう恐ろしい液なのである!チープ!)がかろうじてちょっと綺麗?くらい。


 いや、面白かったのだ。演出も設定も、僕らが観てきたロボや怪獣たちが登場する映画やアニメで観たことあるものばかりで、「どうなるんだろう…」という展開は一切なく「まってました!」「そうこなくちゃ!」「これが観たかったんだよ!」の連続。こんなチャイルディッシュな映画をこんなに贅沢に作ってくれるなんてとんでもないご褒美だ。できるならもう一度IMAXシアターで、前の方の席で見上げるようにして観たいものだ。
 あと、普段は字幕派なんだけれども、今回は吹替えで観た。映像に集中したかったし、日曜洋画劇場感もあって、とてもよかった。


 まだ語り足りないけれども、最後に付け加えるとしたら、芦田さんのお芝居、すごいですね。なにもない空間に向かって演技をしているはずなのに、襲い来る怪獣の臨場感と大変にマッチしていて。恐ろしい子…。