凡庸

週一くらいが目標です。

急須の口につけるビニール製の継ぎ足し口のブルース。

 ワークライフバランスにはなかなか自信のあるほうだったが、先週は仕事がなかなか片付かなくてずいぶんと家内に娘の面倒をみてもらっていた。普段はお風呂や洗い物が僕の仕事なのだけれど、それらをすべて家内一人でやってくれていた。たぶん僕がいなくても家内と娘の二人の生活はうまくやっていけるのだろう。でもそこは家族として参加させてもらいたい。

 

 クリスマスにプチプレゼントとして少しいい紅茶をプレゼントしたので、時々二人で紅茶をいれて飲んでいるのだけれども、急須の具合がどうも悪い。娘が生まれる前に陶器市に出かけて買ってきた急須(ティーポットなのか?)なのだけれど、お茶を注ぐと口のところから少し垂れるのだ。

 これは困る、とi少し前から急須の口につけるビニール製の継ぎ足し口を探していた。それでどうなるかは知らないが、たぶんうまく注げるようになるのだろうと僕らは思っていた。だが、100均で買えるだろうと完全に舐めてかかっていて、それでいてなかなか売っておらず、いつまでたっても見つからなかった。それが先日、いつもいくスーパーの日用雑貨売り場みたいなところで偶然発見した。

 どこの家庭もそうだと思うのだけれど、だいたい急須は一家に一つだと思う。ましてやうちのような夫婦と幼児の三人家族にそういくつも急須があるものではない。ところがスーパーで売っていたビニールの継ぎ足し用の口は3個入り、それもサイズがバラバラなのだ。

 先方の意図はわかる。自分のうちの急須の口のサイズを正確にわかる人はいないだろうから、大中小と3つ買っていけばどれかは合うだろう。なら始めから3つセットにしてしまえばお客に何度も売り場に足を運んでもらう必要はない。実に合理的である。

 でも、3つのうち1つが合うとして、では残りの2つはどうしたらいいのか。繰り返すようだけれど、そういくつも急須があるわけではない。無用の2つは捨てるしかないのか。いくら始末屋で工夫が上手な家内も、ただビニールの筒っぽを短く切っただけのものを活かすことはできない。始めから捨てるとわかっているものを買って、果たして、これを捨てなければいけない。大変心が痛む買い物である。

 値段的には3つセットで150円程度で、まあ大したことはない。これで快適に紅茶が楽しめるなら破格といってもいい。だけれどこれを購入して、捨てるとわかっているものを購入して、選ばれなかった2つを廃棄するのは、人としての大きな一歩を踏み出す勇気を要求されている。

 ……そんな僕の葛藤をよそに、家内は「へー、こんなところに売ってるんだ」と急須の口につけるビニール製の継ぎ足し口を買い物かごに放り込んだ。うちの家内は決断の人である。

 

 家に帰って試してみると、3つとも、我が家の急須に合わなかった。