凡庸

週一くらいが目標です。

あの子とドライブ 天気は良好 道は順調

 上の子と二人で神戸に行って楽しかった。その楽しかったのを覚えておくためのブログ。

 

 秋の三連休中にダラダラしてないでプチイベントがあるといいよね、という流れから上の娘に聞くと「アンパンマンミュージアムがいい」という。えー、でも最近きみアンパンマン見てないじゃん、遊園地みたいなところとかでもいいんだよ?というと「たのしい思い出がいっぱいあるからいいの」と強弁された。そうか、それならまあ下の子も多少楽しめるだろうし、と家族でアンパンマンミュージアムに行くことを約束した。

 それがどうして上の子と二人きりで行くことになったのかというと、下の子が熱を出したから。赤ん坊は定期的にカーッと体温が急上昇する。そしてまた下がる、また急上昇する、みたいなのを1カ月ごとに繰り返す。これは仕方ない。

 でもお姉ちゃんはそんなことで納得しない。「いくっていった」「やくそくした」「たのしみにしてた」と怒るので、日曜日の朝、いつも通りプリキュアを見てそのまま二人で車に乗り込んで神戸へ向かった。

 アンパンマンミュージアムはなぜか父姉の二人で行くことが多い。これで3回目だ。とか言いながら僕も上の子と出かけるのは楽しみだった。ちゃんと言うこと聞けるし、楽しませてあげればちゃんと楽しんでくれるし、それに僕もどこか出かけたいのだ。 でも大人になると自分の出かけたいところがちゃんとわからない。

 車中、橋を渡るたびに「はしだねえ」「とおったことあるねえ」など後部座席から素朴な感想を述べてくれた。 大阪から神戸へ、ハーバーランド周辺まで間違えずに有料道路を降りれた試しがない。

 

 近くの駐車場に止めることができたのはいいけれど、チケット売り場まで行列だった。幸い暑い日ではなかったので、足元のコンクリートに埋められたアンパンマンのタイルを見て話しながら順番を待った。ぐずらずに待てるようになって助かるなあ。

 チケットを購入して(新しくバイキンマンの施設ができたので入場料1800円だった、二人合わせて3600円、これで家族全員で来てたら7200円。嘘だろ!?アンパンマンミュージアムは1歳からも容赦なく大人たちと同じだけの入場料をとる。)、中に入ると大混雑。天気もいいし三連休だしで多くの家族連れでにぎわっていた。

 こう混んでいては子どもたちはあちこちで我が子の写真を撮ろうと一生懸命な大人たちの尻しか見えないのではないかと思う。ちょうどショーが始まりそうだったのでそちらへ移動。しかしこちらも開演30分前くらいから座席が埋まっていた。立ち見かなあ、しかたないね、と二人でロープの外から見ていると偶然席が空いた。スタッフのお姉さんが声を掛けてくれて、我々は一番はじの席に座らせてもらうことができた。これはうれしい。

 

 さて、ショーはというとバイキンマンのワンマンショーだった。はじめバイキンマンが子ども(ばいきちくん)の変装をして登場して、ジャジャーンと変装を解くのだけれど、バイキンマンが正体を現した瞬間、会場の一部の小さなお客様たちから悲鳴や泣き声が聞こえた。そうかー怖いよなーとほほえましい気持ちになった。

 ショーはみんなで元気よくバイキンマンのあいさつ「はーひふーへほー!」を言おうというもの。会場のみんなで元気よくあいさつを繰り返した後に、一人でも元気よく言えるおともだちが立候補しバイキンマンがそれを指名、元気よく「はーひふーへほー!」を披露しバイキンマンに褒めてもらうというものだった。

 うちの子も勇気を出して「はーい!」と手を上げるのだがいかんせんはじっこ、バイキンマンの視界に入らず、会場中央の通路付近の子たちが「はーひふーへほー!」の栄誉に浴していた。見向きもしてもらえないうちの子は少し残念そうだった。

 ひとしきり子どもたちが「はーひふーへほー!」を披露したあと、「じゃあつぎは大人たちにもやってもらおうかな」とバイキンマン。まじか。「いくぞー、せーの!」と言われ、恥ずかしいけど子どもの手前恥ずかしがるのはみっともないと思い、僕もドキドキしながら「はーひふーへほー!」と声を出した、やれやれ。

 「じゃあこの中で一番元気よくあいさつできる大人は誰だー?」まじかー。これキッツいぞ。でもなあ、ここでお父さんが選んでもらえればバイキンマンが近くまで来て一緒にはーひふーへほー!をやってくれるんだよなあ、と覚悟を決めて手を上げてみると、あー、バイキンマン来ちゃったよ。

 お姉さんにマイクを向けられ、「じゃあお父さん、どうぞ」と促される。おいおい、と思いながら根性なしのお父さんは娘に「いっしょに言おっか」と道連れにして、「せーの」「「はーひふーへほー!」」すっごいドキドキした。この歳でこんなにドキドキすることはそうない。

 無事バイキンマンにも「よーし!合格!」と褒めてもらえた。慌ててバイキンマンも入れて三人で自撮りをしようとするもブレてしまった。あーあ、と思ったけど娘が覚えててくれたらいいや。

 

 その後、新しくできたバイキン秘密基地や、娘はもう何度も観たであろう色んなオブジェを巡っている間に、お昼の時間になった。「アンパンマンのお店でたべたい」という娘とモール内のレストランへ行ったけれど途方もない人数と待ち時間だったので、娘を説得しハーバーランドのどこかで食事をすることにした。

 海を眺められるこじゃれたレストランがすんなり入れたのでそこで食事をすることに。僕のスパゲッティと娘のお子様ランチを少しずつ取り換えっこしたりして一緒に食べた。下の子がいないだけで、こんなにも外食は平和でのどかなのか。楽しい。

 

 アンパンマンミュージアム戻る途中で娘がジブリグッズの店を見つけ、手を引っ張る。まあいいか、と中に入ると娘は一つひとつの棚で丁寧にグッズを眺めていき、それどころか同じところも何度も見ていくので30分以上店に滞在することになった。君はアンパンマンに会いに来たんじゃないのか、とも思いつつ、まあいいかこの子が楽しけりゃと好きなようにさせた。最終的にその店でポニョと宗介の指人形をお土産に買った。トトロですらないのか。

 

 再びアンパンマンミュージアムにてハロウィンの仮装をしたキャラクターを待ちがてら遊んでいると、催し物コーナーで何か始まりそうだったので参加しに行った。お姉さんたちにマスキングテープをもらって、部屋の中の池や街にお魚の形を作ったり建物を作ったりできるようだった。娘もお姉さんと一緒に建物を作っていた。

 ただ、娘の作っているお家が、どうも屋根がいびつでビルのようになってしまい、すこし機嫌を損ねていた。お父さんは機転を利かせてピンクのテープで十字を作り「これ病院っていうことにしようか」と提案したら思いのほかウケて、お姉さんにも「すごいね、上手だね」とほめられてうれしそうだった。お父さんが手伝ったんすけどね。

 その後も線路の敷設や電車ごっこへの意欲的な参加など、娘は鼻息荒く積極的にお遊びの進行に与し、向こうのほうでハロウィン仮装のコキンちゃんを見つけたので「会いに行かない?」と尋ねるも、テープをちぎったり貼ったりで忙しく聞く耳を持たなかった。たしかにマスキングテープ遊びは楽しいけれど、いうなればこれもあんまりアンパンマンは関係なく、ジブリに続いてつくづく、もう娘はキャラクターとしてのアンパンマンに魅力を感じていないのだなと思う。これは成長だ。

 

 マスキングテープの遊びを片付けまで堪能した娘を連れてアンパンマンミュージアムを出た。何かアンパンマンのお土産を買おうかなと思ったけれど、どこも満員行列で、子どもの手を引いて品物を見繕いレジまで行くことを思うと面倒だった。そもそもうちの子、もうそんなにアンパンマンに興味ないみたいだし。

 そういうわけで、ハーバーランドカルビーショップでポテりこ(揚げたてのじゃがりこ、めちゃウマい)と家内のお土産にするポテトチップスを買い、二人で船を眺めながら食べた。娘は「そんなにいらないかな」とか言ってたくせに一本食べたらおいしかったらしくどんどん食べてた。ふねおおきいねえ、ゆれてるねえ、おいしいねえ、とか言いながら、どこからか聞こえるジャズの生演奏を聴きながら、すこし休憩した。

 

 帰りの車でも娘は少し寝ただけで起きて大人しく乗っていた、助かる。見慣れた景色に「もうすぐいえだねえ」と言っていた。「すっごいたのしかったねえ」と言っていた。

 大人になるとどこに行きたいのか、何をしたら楽しいのかよくわからなくなる。目的があってそれを達成すると楽しいような気がする。

 娘の様子を見ているともっとアンパンマンを楽しめよ、ていうか結局アンパンマンミュージアムじゃなくてもよかったんじゃないか、とも思うのだけれど、本人はそんなこと気にしておらず、目の前に現れるものの中らから楽しいものをちゃんと見つけて堪能して楽しいと思っている。えらいなあと思うし、そういう人と一緒にいると僕も楽しい。僕としてもすっごいたのしい一日だった。

 

 家に帰って家内にはポテトチップスを、下の子には本当はお姉ちゃんが入場の際にもらった、首から下げられるアンパンマンの鈴を上げた。下の子は自分が渡されたものがアンパンマンだとわかると、彼女が最近獲得した数少ない語彙のうちのひとつ「あんぱん!」といって振り回して喜んでいた。