凡庸

週一くらいが目標です。

ギャルっぽい女医さんはタミフルをくれませんでした。

 新年早々えらい目にあった。家族4人体調を崩した。病気としてはっきり判明したのは下の子のインフルエンザ陽性だけで、あとはみんな陰性。でも家内と上の子はとりあえず、とタミフルを処方されていた。僕だけタミフルをもらえなかった(別に同じお医者にかかったわけではないけど)(僕が診てもらったのは若いギャルっぽい女医さんでした)(後日近所の医者に診てもらってもインフルの反応は出なかったのでギャル女医は正しかったのだと思う)。

 たぶん自分ひとり、あるいは大人たちだけなら自分の体調を適正な状態に引き戻すのはそれほど大変じゃなかったと思う。けれども具合が悪くてメソメソ泣いたりしている子どもたちを気遣いながら自分の体調をなんとかするのは大変だ。

 自分たちだけ適当にカロリーと水分をとって気のすむまで布団をひっかぶってしまうわけにもいかず、こちらも体調が悪いながらも子どもたちを抱きかかえてやり、口にゼリーを運んでやり、お茶を沸かしたりコップに注いでやったりし、眠れるまで添い寝をしてやり…。バットマンダークナイト(ヒースレジャーのジョーカーがカッコいいやつ)で、「自分が全然大丈夫じゃない状況で愛する人に『大丈夫だよ』と言う辛さがわかるか」というようなセリフが出てきたのを思い出した。

 とはいえ、結局家族で布団をひっかぶっているしかなかったんですけどね。…いや、上の子が半べそかきながら「おしっこでちゃうー」と何べんも起きるので一緒にトイレに連れていってやり、下の子が寝ながら咳でむせた勢いで布団に吐いてしまったのをふらつきながら夫婦二人で処理した。やはり布団をひっかぶっている場合ではなかった。

 まあ、大変だったんすよ。

 

 僕以外の3人はタミフルを処方されたのだけれど、そのタミフル特有の副作用か、上の娘が「部屋がうるさくて寝れないー」と半べそをかいて起きたり「人が多すぎるー」とやはり半べそをかきながら起きたりした。もちろん寝室には家族4人が少しでも体調を戻そうとこんこんと眠っているだけだ。心霊現象かと不気味な気もしたけれど、こちらとて体調が悪くそんなことにかかずらう余裕もないので、娘には「大丈夫だよ」と言って再入眠させた。

 そして熱が下がったあとも処方された分は飲み切らなければいけないのでタミフルを飲ませるのだけれど、微妙にいつもと性格が違う気がする。妙に口数が多く陽気で、意味のないことを口走る。まあ正月休みのテンションを引きずってることにしてもいいけれど、僕としてはタミフルの副作用だと思っている。

 家内と下の娘は特に変化はなかった。

 

 それにしても家内が年末年始の帰省に懲りてしまったようで、来年は遠慮させてもらおうと言っている。確かにわざわざ混んだ高速道路を寒い時期に寒い地域に向かい、そこで寒いのをこらえながら数日過ごすこともない。もっと穏やかな気候の時期に行けばよい、道理だ。道理ではあるんだけれど、両親から孫を引き離して生活している負い目を感じているのでできれば時々は実家に訪ねてやりたいと思う。でも家内の言うことこそ道理なのでなにかうまい落としどころを見つけたい。僕のじいさんばあさんにもあと何度会えるかわからないし。

 

 そういう散々な2019年の幕開けだった。帰省自体は両親も大層喜んでいたし、子どもたちもずいぶん楽しんでいた。僕もガンプラを組み立てたり高いすき焼きを食べさせてもらったりよかった。やっぱり家内がかわいそうだな、年末年始(あとお盆)の過ごし方、考えなおさないと。