凡庸

週一くらいが目標です。

凡庸の凡庸

 結局家内に許しを得て、夜中の22時も回ったころからいそいそとナイロンパーカを羽織って自転車に乗って駅へ向かった。数日前の寒さは何だったんだというくらいには寒くない夜だった。都会行の電車に乗って地下鉄に乗り換えてクラブへ行った。目当てのDJはかっこよかった。ビールを飲みながらふらふら揺れていた。酔っぱらったお兄さんとビールをおごりあったりした。若い女の子も大勢いた。というか「お兄さん」とか「女の子」とか言ってるけど暗いし酔っぱらっているし実際はよくわからない。

 ぶっちゃけ3時ごろにはずいぶんくたびれたし眠たかったけどタクシー代もったいなのでそのままダラダラとして始発で帰った。途中、都会の街路樹にイルミネーションを巻き付けていた、冬の準備であるな。始発はみんなぐったりと寝ていた。色んな夜のたどり着いたのがこの景色なんだろう、知ったこっちゃないけど。自転車に乗ると昨晩より少し寒かった。少し空が明るくなってきた。吉野家によって牛丼を食べて帰った。タバコ臭いパーカーとジーパンを脱いで、パジャマに着替えて歯を磨いてこっそり寝室に入った。それが朝の6時少し過ぎ、一児の父は少し不良だ。

 

 家内と娘がゴソゴソしている音で少し目が覚めるけど「もう少し寝てていいよ」と言われたのでもう一度目をつぶる。でもキッチンのほうで二人で話しながら何かやってるので寝てるような起きてるような状態でその音を聞いていた。呼ばれて席について朝ご飯のホットケーキを食べる、9時ごろのこと。少し食べきれずにおやつにすることにした。家内は支度して産婦人科へ向かった。娘が「ついていくのー」と少しごねたけれど録画していたアンパンマンを見せて事なきを得る。その隙に洗濯を済ます。

 1時間ほどして家内が帰ってきた。ので家内を駅まで車で送る。遠くで結婚した地元の友人が里帰り出産で帰ってきているので一緒にお昼ご飯を食べるらしい。家内を駅で降ろすと当然娘がごねて泣いたので「水星」をかけて大きな声で歌って張り合ってごまかして一度家に帰った。そして娘のペダル無し自転車を電動自転車の前かごに無理やり積み込んで少し遠くの公園へ向かった。

 公園では同じくらいの子どもたちが遊んでいた。自転車をしにきたつもりだったけれど、娘を降ろしてやると遊具で遊ぶ、というのでブランコやすべり台に付き合う。身体能力的に結構難しかろうと思うような遊具も遊びこなすので、いつの間にやら保育園に通ううちにずいぶん成長するもんだと思う。そのあとハンドルの遊具をぐるぐる回しながら「ばすですー、ほいくえんいきますー、おとうしゃんはこっちのってくださいー、つぎはいおんですー」としばらく付き合わされた。

 そろそろ帰るかな、と思っていたら自転車を持ってきていたことを思い出し、「じてんしゃにのる」というので公園の外周を自転車でうろうろする娘の周りをついていきながらスマホで写真やムービーを撮った。実家の母親にそれを送るついでに年末調整に必要な資料を送ってくれと伝えた。

 「まだ!まだ!じでんじゃずるのぉぉーーー」と喚き散らしながら暴れる娘を無理やり座席に詰め込みベルトをはめて帰る。恥ずかしいので「水星」を歌うわけにはいかないし。しばらくすると静かになったものの、うしろからぶつくさ言う声が聞こえた。家に帰る途中で焼きそば屋に寄ってオムそば(大)600円を買う。帰って二人で分けて食べた。娘は最近エジソンのおはしというトレーニング用のはしを使っていて、それと大変上手に使ってもりもりと食べた。おむつを替えてパジャマに着替えさせて寝室へ入った。枕もとでニヤニヤした様子でごちゃごちゃ言っていたけれど「お父さん寝るからね!おやすみ!」と布団に潜り込んでだんまりを決め込んでいたら、いつの間にか僕も娘も寝ていた。

 

 「うんちでた」と昼寝から起こされた。トイレでおむつをとりかえていると家内から「もうすぐ帰る」とのことだったので娘と着替えをして駅へ向かう。家内と合流して、ついでにクリーニングを回収して薬局で買い物をしていったん帰った。夕食の支度をする気がしなかったので、そのあとでみんなで回転寿司に行った。娘はかっぱ巻き一皿と納豆細巻き一皿と茶碗蒸し一つをぺろりと平らげていた。頼もしい限りだ。家内もしっかり食事をしていて、つわりも少し楽になったようだった。

 そういえばおやつにするつもりだったホットケーキの残りを食べそびれている。