こないだ書いたこの話の続きです。
そもそもなんでPOPEYEをせっせと読んでいるんだろうかというと、自分にとっての「いいもの」が何なのかわからないからそれを教えてもらっている、というところがあるんだと思う。なにがカッコいいのかわかんないんですよ。
まあそもそも雑誌って「こういうのがイケてるんだよ」と読者の購買欲を刺激して消費を活性化させるためある種のカタログだし、実際、家内なんかもなんか服欲しいなあと言ってると思ったら雑誌を買ってきてああでもないこうでもないと検討している。だから僕がPOPEYEに求めているものは間違っちゃいない。
僕らが雑誌に求めるのは「同じセンスを持っていて、たくさんの情報を紹介してくれる」雑誌だ。センスが先へ行かれ過ぎるとついていけない。そのかわり情報量はたくさん提供してほしい。取れる球をたくさん投げてほしい。
ただPOPEYEを読んで「あ、コレ買おう」となったことがあるかと言われると疑問だ。ふーん、いい感じですねとは思うんだけど実際に店で探して買った覚えはない。どうせ東京にしか売ってないしね…。
と、書いてみてふと思ったんだけど、なんでPOPEYEに載ってるいい感じのものは東京にしか売ってないんだろう。確かに東京とそれ以外の都市は全く別物だとしても、いいかげん21世紀なんだしそこまで東京にしか売っていないものばかりでもないだろう、というか地方にも売ってるものだってたくさんあるんだからそういうのも紹介しなよ、と思う。
たぶんPOPEYEはちょっと都会で買える、ちょっとこじゃれたものには興味がないんじゃないか。そういうものにはPOPEYEが語るべき物語を添えてやることができないから。東京のここにしかなくて、しかもすぐに買えなくなっちゃうような物語のあるものがPOPEYE好みなのだ。あるいはむしろHanesのパックTシャツみたいな、どこでも気軽に買えちゃうチープなものなんだけど、そういうもののほうが物語を語りがいがあるんだろう。
もういっこ、POPEYEは別にものを買わせるつもりがないなと思うのは、いちいち服とかがハイブランドだったりしてバカ高いのだ。購読者層としては20代前半、30代は越えないと思うんだけど、特集記事のモデルさんとかがグッチとかプラダとかのTシャツをバンバン着ていたりする。誰がグッチでポロシャツ買うんだよ、プラダの海パン履くんだよ。バブルか。
POPEYEはカタログとして役に立ないなと強く思ったのは「夏、プールに身に着けていきたいもの」みたいな記事の中にガルウィングのBMWが載っていたことだ。何が「¥19,660,000」だよ、バカじゃねーのか。(同じページにコンバースのジャックパーセルが載っている、¥13,000)
もういいんだ、僕たちはPOPEYEを読んで何か買おうとはあまり思っていない(特に地方在住者は)。僕らはPOPEYEを読んでcity boy的な審美眼を養って、身の回りのPOPEYE的なものを見つけて、そして物語を添えてやればいいのだ。
POPEYEは商品を並べるだけじゃなくて、その商品が持っている物語やその商品から生まれる(であろう)物語を語ってくれる。
あんまり買え買えって言わない雑誌。その雑誌の中で小宇宙を完結させている雑誌。物語があるなあ。
ちなみにPOPEYEの最新号の特集は「メキシコ」です。行けるかよ(でもメキシコ料理は食べたくなる)。