Meets Regionalという京阪神エリアを中心にしたグルメガイド雑誌がある。僕はこの雑誌がなかなか好きで、自分に縁のあるエリアや興味のある特集の時には購入して読んでいる。今月号は「ストリートフード」特集ということで、鮮やかなグリーンのバックにピザをつまむ犬のキャラクターのグラフィティが描かれた表紙が目を惹くのでついつい購入した。ピザね、いいじゃないの。ストリートフード、いいじゃないの。
と思ってパラパラと紙面をめくったんだけど、どうにもしっくりとこなかった。
端的にいえば、なんだか内輪ノリ、みたいなのがキツすぎるように感じたのだと思う。
Meets Regionalはグルメガイドながら、料理そのものだけでなく、その町や店の人にフォーカスした誌面が特徴だ。誌面のあちらこちらに料理の写真と同じくらいに人間の写真が写っていて、さながらファッション雑誌のようである。取材インタビューも読みごたえがあって、その店を切り盛りする人々の人柄がよく伝わる。
以前はそういうオシャレさや読みごたえが好きだったのだけれど、それが今の自分には裏目に出たのかどうにも鼻についてしまって、今月号は買ったはいいけれどあまり読む気がしなくなってしまった。
料理そのものでなく店や人にフォーカスすることを特徴としているこの雑誌の性質上、取材対象にどっぷりつかりすぎるせいなのかもしれない。誌面から立ち上る自己主張圧に胸やけをおこしてしまうのだ(グルメガイドなのに!)。
なんというか、こう、過剰にカウンターの向こう側を取材することを意識しすぎてそのまま向こうで盛り上がってしまい、客である僕たちがすっかり置いてけぼりになっているような、常連客ばかりの店に迷い込んでしまったような、そういう白けた所在なさを読みながら感じた。
なかなか外で食事をしたりお酒を飲んだりしづらいこのご時世、僕は雑誌でも読んでちょっとでもそういう雰囲気を味わいたかったのかもしれない。それなのに本を開けば誌面は店の人とバックヤードでわいわいやって、こっちの「今いいですか~?」の声も届かないような気分だった。
まあ、そういうのはたぶん、こっちのひがみっぽい気分が大いに作用している部分もあるんだろう。ときどきあるんだよな、他者の自己主張を楽しく受け入れられない時期っていうのが。きっと僕だって誰かに話を聞いてもらいたい気分なんだろう(とくにするほどの話もないんだけど)。
そういう余裕のなさが、他者の自意識みたいなものを拒絶しているんだと思う。
しょうもない感染症に対する不安症で出かけられないこの状況いつになった収束するんでしょうね、ほんとうに。